転職を考えた時はあらためてライフプラン、人生の座標軸、キャリアビジョンを見つめる良い機会

明確な理由を検討したこともなく、会社に入社して『正社員』として働くことを当たり前だと思っていませんか?

リクナビネクストやマイナビ転職など、一般的な正社員転職求人サイトをチェックした人は、どこかの会社に会社員として勤務する働き方を選ぼうとしているわけです。

雇用形態は正社員。

日本においては、突然正当な理由もなく解雇されることは法律や判例上許されていないので、一見安定した生活が遅れそうな正社員としての働き方。

日本では、派遣社員やアルバイトで収入を得ている人は正社員より下、と見られています。

自ら積極的な理由でアルバイト生活や派遣スタッフとして働いている人も多いでしょうが、
本当は正社員になりたいけど、できなかったので
派遣でとりあえず生活費を稼いでいる、アルバイトで生活している、
という人が多数なので、アルバイトや派遣の非正規雇用の人たちは正社員の正規雇用の人より下、
ということでしょう。

例えば医師は大きな病院に専属勤務する会社員医師もいるし、
いくつもの病院に週のうち数日とか数時間かけもちで勤務するアルバイト医師、開業する医師もいます。

医師の働き方は正社員が上、非正社員が下という評価はされていないと思います。

弁護士や公認会計士、税理士なども似たようなものでしょう。

むしろ法人に所属している人よりも独立している人の方が評価されているのではないでしょうか。

もっとも、それらの資格商売は、独立したものの稼げなくて会社員にもどるという時にも比較的やり直しがし易い職業です。

高度な資格職業の人は、その資格取得の勉強をしている時から将来は独立をすることを前提にしている人がそもそも多いのかもしれません。

そのような資格職業などではない一般的な職業の人たちは、
正社員で働き続けることに何らの検討もしなかったのに正社員で働くことを、当たり前として思い込んでいる人が多いのではないでしょうか。

派遣スタッフだと、
派遣期間と派遣期間の間に無収入の期間が生じることがあり、
収入が不安定になる恐れがある、
ということが実際に起こり得るので、その考えは間違いではありません。

アルバイトだと、
突然解雇されることがある、
という思い込みもそれほど間違ってはいません。

理不尽な雇用主だと起こり得ます。

突然明日から来なくてよい
ということにはならないけども、
正社員よりは短期間で解雇予告の上解雇されているのは事実です。

では、正社員で働くことができれば収入は安定するでしょうか?
生活は安定するでしょうか?

 

大手企業に正社員として入社しても
転職を余儀なくされてきた人はたくさんいます。

大企業ならではの、
業界的な再編、グループ企業の再編で、
部署異動、勤務地異動を命令され、従わなければ退職、
ということが日本ではたくさん起こっています。

中小零細企業でも、
吸収合併されて転勤を命令されたり、
退職を勧奨されたり、
そんなことにならなくても
体力のない規模なので経営悪化によって退職勧奨されたり、
存続できなくなって退職
ということも起こり得ます。

どの企業が今後も存続するか、
成長をしていけるか、
を見抜くことは難しいのです。

ある企業の内部事情だけを見れば、
今後も存続、成長していける見込みがかなり高いと思われても、
外部環境の大きな変化に飲み込まれてしまうこともあるかもしれません。

優秀な経営者は
外部環境がどんなに変わろうが対処していけるように準備をしているでしょうが、
想定を大幅に超えてしまったら対処できません。

会社自体は健全に成長しているけども、
あなた個人の評価が低く、
あなた自身がその会社に居づらくなって
精神的に追い込まれてしまうかもしれません、
病んでしまうかもしれません、
その結果、
自主退職するという選択をしてしまうかもしれません。

あなたを評価してくれていた上司や経営陣が代わり、
あなたは新たな上司や経営陣との関係がうまくいかず、
信用されず、
仕事を任せてもらえなくなり、
居場所がなくなってしまうかもしれません。

誰もが転職を余儀なくされてしまう可能性があるのです。

誰もが転職を余儀なくされる可能性があることを意識して働くべきであること、転職活動をすべきであること

日本政府は、
民間企業に対して定年制の延長を要請していますが、
それは
日本の年金制度が近い将来に現状のままでは維持できなくなること
が明白だからです。

政府が従来通りに高齢者の面倒を見ることができない、
年金を従来通りに支給することができないから
民間企業にその責任を無理やり押し付けようとしているのです。

では、
民間企業は政府から押し付けられた経済的負担を
素直に受け入れているのでしょうか?

そんなことはありません。

一部の企業では定年を延長しています。
高齢でも元気であれば働くことができるようにしています。

でもそんなことをしたくない企業はどうするか?

定年まで勤務し続けることができないようにリストラするのです。

AIを導入して削減できる人員を作り出す、
自社の人材でなくてもできる業務はアウトソースして、
その部署の人材をリストラする。

銀行、特にメガバンクでこの数年行われてきたリストラです。

さらには海外からの人材流入も加速していきます。

日本人がしたがらない仕事に携わる人材だけではなく
優秀な人材も流入し、
日本人の職を奪うことにもなります。

誰もが職を失うかもしれない可能性が益々高くなっていくのです。

突然転職しなければならない状況になることを想定していますか?

政府が民間企業に定年制の延長を要請していることは、
働く側にとっては、
選択肢が広がることにつながるように見えますが、
逆に民間企業が社員の淘汰を強める原因となるのです。

いろいろな形がありますが、
一般的な民間企業に正社員で働いているからと言っても、
将来に渡って収入が安定しているわけではありません。

突然放り出されるかもしれません。

だったら、
そのような状況に備えて実力をつけておこう、
自ら飛び出して自らの力で稼ぐ生活をしよう、
副業を始めよう、
とこれまでの意識を変える方が賢明かもしれません。

昔ながらの古い体質の日本の大企業には、
仕事はできないけど長く働いているから給与も高くて役職についているような人がいて、
そんな人たちがその企業を退職することになって再就職活動をしても、
厳しい状況になる、
ということはよく言われる話です。

それは古い体質の大企業だけの話ではありません。

例えば
IT業界の大手SI企業で長年勤務していたエンジニアが退職したとします。

大手出身だし、
同業界の中堅中小で拾ってくれるところはいくらでもあるだろう
などと思っていたけど、
大間違いだったことに気づきます。

求人市場には
大手企業の管理職を採用したいという求人はかなり少なく、
ほとんどは若手の手を動かすエンジニアです。

大手企業のマネージャーをしてました
と言う人の業務が、
実際に手を動かすエンジニアのまとめ役、と言っても、
スケジュール管理等が主体のマネージメントが主業務であったため、
技術的なスキルはキャッチアップする必要がなかったので
転職市場ではマッチする求人がないのです。

単に
希望給与を大幅に下げれば求人が見つかる
という話ではありません。

そんな人は結果的に、
かなり時間はかかりますが、
マインドセットして、
全く違う業界に大幅な給与ダウンをして
再就職する、
やっと再就職できる、
ということになったりします。

そして、
そのような先輩の再就職に苦戦した様子、
人生が大きく変わった様子を見て、危機感をもった若手が、
このままその会社に居るべきか、
なるべく早めに他の会社でも生きていけるようなキャリアに転換すべきか考えるのです。

若ければ若いほど手遅れにならずに実力をつけられるでしょう。

新卒の時の就職活動では
『誰でも知っているような大企業に入社すれば人生は安泰』
などと盲目的に思い込んでいた人でも
現実の厳しさを目の当りにして、
そんなことはないのかも、と気づくのです。

これから社会人のスタートを切る新卒の就職活動をする学生も、
日本人がこれまで当たり前だと思ってきたようなことがこれからも続いていくとは考えない方が良いと思います。

人生は思い通りになるとは限らない、というか、
思い通りにならない人が大多数でしょうが、
その『思い』、
人生設計、ライフプランをもっている人と、
もっていない人では転職が成功するか否か、
転職してより人生が幸せになるか否か
が違います。

転職を考えるのであれば、
そもそものその人生設計、ライフプランをしっかりと検討し、
人生の座標軸を定め、
キャリアビジョンを明確にしていくことが、
現時点で転職をすべきか、
転職をするとしたらどのような基準で働く会社を選ぶべきか、
あるいは
会社員として働くという当たり前のように捉えていた概念も
ひょっとしたら自分には当てはまらないのかも
と考えることも必要かもしれません。

転職するにしても、『今後また転職せざるを得ないことになるかもしれない』ことを前提に転職するべき

何度か転職を繰り返してきた人が、
転職活動の面接において応募先の企業から
「またすぐに転職するんじゃないの?」
と思われないように、
「今回で転職は最後にしたい、御社に入社で定年まで働きたい」
などとアピール人がいます。

それ自体は、面接の場において目的通りの効果が期待できます。

短期で転職を繰り返してきた人は、
「またどうせうちに入社してもすぐに辞めるでしょ」
と判断されてしまい、
採用対象者になるような
経歴、スキル、実力があっても採用を見送られることが多くなります。

だから
ジョブホッパーは今回の転職では簡単に辞めたりしない、
と思われないと採用されないので必死にアピールするわけです。

そのようなアピールをする人が
本気でそう思っているのか、
ただの面接での方便なのかは別にして、
働く側の個人がそう思っていたとしても、
転職する場合は、
『今後また転職せざるを得ないことになるかもしれない』
ことを前提に転職するべきなのです。

解雇されることのない公務員になって
生涯勤めあげるということでなければ、
今後転職をしなければならないことになるはずがない
とは思ってはいけません。

では、
将来転職をせざるを得ないことになった時に備えて何をすべきか?

転職をする人であれば、
その新しい勤務先で、
「ビジネスパーソンとしての客観的な評価が上がるような時間を送れるかどうか、ビジネスの実力をアップさせることができそうかどうか」
という基準が必要です。

できるだけ選択肢を残す選択をすべきなのです。

自分の価値を消費していく、消耗していく、
自分より若い世代の経験の浅い人たちでもできそうな仕事が業務となる転職をすることは、あなたの年齢相応の客観的な評価を上げることにはなりません。

他社で評価されることがないような仕事しかしてこなかったと自分で認識している人は、
「ここを辞めたら他の会社で自分を拾ってくれるところはないから、どんなことがあってもこの会社を辞めることはできない」
と考えます。

他社で評価される自信がある人は、
転職をしなければならないことになるかもしれないかどうかに関係なく、自分のキャリアビジョンや人生設計を実現させるために行動できます。

仮に、
『現時点で自分を高く評価してくれる会社があるに違いない』
と自信をもっていないのであれば、
今は自ら望んで退職、転職すべきタイミングではないんです。

そうは言っても自ら望むわけではなく、
退職しなければならない事情があるのであれば、
できる限り、更に次の転職をする機会に備えて、
自分の転職市場での価値を上げることができる転職、
すなわち
「ビジネスパーソンとしての客観的な評価が上がるような時間を送れるかどうか、ビジネスの実力をアップさせることができそうかどうか」
という基準で会社選びをしてチャレンジすべきです。

そのような目的で選んだ会社全てに不採用とされてしまった場合、
生きていくためには、生活費を稼ぐためには、
その基準を満たさない企業で働かなくてはならないことに陥ることになります。

そんなことになってしまったとしても、
転職活動を続け、
その基準にマッチした企業との出会いを求め続ける方が、
その先の人生での幸せな転職につながるのことになるのです。